守屋 陽介 (中途失明者) 50代 兵庫県在住



●パソコンについて思うこと
私がパソコンを日常の生活用具として使い始めたのは平成5年頃でした。
国立神戸視力障害センターで、生活訓練の一環として、点字の触読訓練と共にAOKワープロの操作の手ほどきを受けたことが、始りです。全盲の人でも音声だけで、ワープロ文章の読み書きや編集・保存まで出来、更に弱視者向けにはディスプレイ表示の拡大や白黒反転もできるように配慮がなされた、このワープロシステムは、当時としては画期的なものでした。この盲人用ワープロと拡大読書機を併用することで、健常者の頃と変らぬ読み・書きが再び出来るようになった時の喜びはは忘れることができません。

このシステム一式の価格は50万前後で、高嶺の花でしたが、幸いにも、音声装置とソフトの中古を安く譲ってもらう事が出来、パソコン本体や周辺機器は、以前に趣味のアマチュア無腺で遊びに使っていたモノがそのまま流用出来ましたので、すぐさま自宅でも便利な道具として活用し始めることが出来たのははラッキーでした。

その後、パソコンのOSがBasicから「MS-DOS」→「WINDOWS」に大きく変遷するのに伴って、同じAOKワープロの操作方法もガラリと変らざるを得なかったので、その都度、新しい操作法の教習を受け直す為に、大阪まで行かなければならず、大変でした。基本的なワープロ操作以外に、Eメール、インターネットの操作をはじめ、通信回線の接続やファイルの処理法など、新しく習得しなければならぬ分野も今なお少なくないので、いつまで経っても、まだ、初心者の域を抜け出せずにいます。

そんなレベルの私でも、今やパソコン無しでは、仕事も暮しも成立たない程、パソコンの恩恵を受けていることを感じない日はありません。そのような自分自信の実体験から、視覚障害者こそが、一番パソコンの恩恵を受けているのではないか・・・とさえ思っています。

そこで、身近な視覚障害の人達にパソコンの利用を勧めているのですが、普及の妨げとなっている最大の要因は「身近に良い指導者がいないこと」に尽きると私は思っています。入門者がメール交信やインターネット検索が出来るようになる程度まで、つまり政府主導で実施された「IT講習会」の復習を指導する、言わば、超・初心者対象の指導者が抜け落ちているからだ、と私は考えています。

障害者のパソコン活用には、障害者自身の意欲や努力が前提なのは言うまでもありませんが、信念と情熱を持った指導者が不可欠です。神戸・明石地区で一番身近な指導者としての大川さん、佐藤さんのお二人の今後の活躍を期待する所以です。



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